歩く目覚まし、でひゃあっ!


今は朝5時。

<ジリリリーーーー!> 目覚まし時計が大きな音を立て、時間を刻んでいる。

「うっさいわー!もうちょっと寝かせてくれー!」 エキスちゃんは頭から布団を被った。 足が布団から少し出た。

<スタスタスタ、ぴょこ> 目覚まし時計が歩き出した。 エキスちゃんに近づくと再び。

<ジリリリー!>

「うるさーい!!!もうなんなんだー!あっ、試作品!!」 目覚まし時計とエキスちゃんの鬼ごっこが始まった。

「くそー、待てー!」 目覚ましは蛇行しながら逃げる。 それを追うエキスちゃん。

「…何をしているんですか、こんな朝っぱらから。」 データちゃんのジト目が普段よりも眠そうになっている。

「あの目覚まし逃げるんだ!」 「…ふあ、どうせエキスが作ったいつものやつですか。」 「いつものやつって説明雑だよ、データちゃん!」

そこへみんなが起きてきた。

「どうしたんですか〜?」 オブちゃんが薄紫のネグリジェで部屋から出てきた。

理由を聞くと、 「…追いかけ…ましょう…これでは…みんな寝れなく…なっちゃいます…。」 ラボちゃんはすでに普段の服に着替えている。

「ラボちゃん、珍しくお姉さんしてるよ!」 「…たまにしかないので記録させてください。」

「ひゃあ…」

「承認!承認!」 アール所長がぷかぷかと浮いていた。

<ジリーリーリー!>

「リーリーリーじゃないわ!なに盗塁狙ってるんだ、あいつめ!」 すでにエキスちゃんの髪色が茶色から金に変わっていた。

「じゃあ、みんなで捕まえましょう〜♡」 「オブ姉、デスっち厳禁だからね!」 「今日は使わないから大丈夫です〜。ちょっと『めっ』ってするだけですから〜」 「…それ一番怖いやつですよ。」

「…あっ…そっち行きました…」 「本当にすばしっこいなこいつ!」

目覚ましはアール所長の方にダッシュ。 所長を踏み台にして外に出ていった。 「非承認…」

「あっ、外にでてしまいました〜」

外に出たみんな。目覚ましを必死に追いかける。 そこで遭遇したのはエキスちゃんの親友、おとちゃん。

「まてー!あっ、おとちゃん、そいつ捕まえて!」 「えっ!エキス何やってんの!?何、今の!めっちゃ可愛くない!?」

どうやら今日はバイトではないらしい。

「あの目覚まし逃げるんだ!」 「おとさんも追いかけましょう〜♡」 「マジ可愛いし楽しそう!」 追いかけるメンバーが1人増えた。

「…神社に…入りますね……」 「…きょうはもふもふさん、いるのでしょうか?」 「データちゃん、今はたまちゃんじゃなくて目覚ましだよ!」

目覚ましは神社に駆け込んでいった。

「なんじゃ、さわがしいのう、だれじゃ。」 妖狐のたまちゃんが祠から顔を出した。

「たまさん、その目覚まし捕まえてください〜♡」

<ジリリリー!>

「うるさい目覚ましじゃの!」

「何その扇子!可愛くない!?」 おとちゃんはたまちゃんの扇子に目を輝かせている。

「なんじゃお主。初めて見る顔じゃの。あやつらの知り合いかの?」 「そうだよ!『おと』っていうんだよろしくね!」 「これからよろしくじゃの。しかし扇子見るとはいいところ見ておるの。」 「だってそれめっちゃ可愛いじゃん!」 「あやつらは尻尾ばかりでのう…。」 たまちゃんがチラッとデータちゃんを見る。

「それはデータちゃんだよ、きゃは!!!」 エキスちゃんが尻尾をつかんでいる。 髪色が金髪ピンクメッシュになっている。

「エキスめ、何をするか!」 「…ずるいです。」 「ほら、たまちゃん、データちゃんがマジで拗ねたじゃん!」 「それはお主がわらわの尻尾を掴むからじゃ。」 「えっ!そうなのデータちゃん!?」 「…ずるいです。」

「データよ、仕方ないのう。ほれ。」 拗ねたデータちゃんを見てたまちゃんが尻尾でデータちゃんを撫でている。

データちゃんの顔が幸せな顔に変わった。 「…もふもふさん。」 「わらわを、もふもふさんと呼ぶのをやめんか!」

「いいからつかまえてください〜」 「ほらそっち行った!おとちゃん右側!」 「なに今のジャンプ!可愛くない!?」

「もう見てられんのう。ほれ。」 たまちゃんが妖力で動きを鈍くする。

動きが鈍くなった目覚ましがラボちゃんにしがみついている。 ゆっくりとラボちゃんを登ってきている。

「…ひゃあ…なんか…可愛いですね…」

ラボちゃんが目覚ましと目があった。

<ブオオオオー>

なぜか目覚まし時計から冷却ファンが回った。 「あいつにも冷却ファンつけたんだった!」

「ひゃっ!」 【ブオオオオーーーー!】

「なにあれ!もらいブオオかな!?」 「めっちゃ可愛いんだけど!?」 「承認。」 アール所長がおとちゃんの頭に乗っていた。

「ラボさん、もらいブオオオしてましたね〜」 「…もらいブオオオ記録しました。興味深いデータです。」 「あれ超可愛かったんだけど!?」

「おと、とやら、また遊ぼうぞ。」 「たまちゃん、また扇子見せてね、超可愛いから!」 初めて会った二人は仲が深まったようであった。

登場人物
ラボちゃん
主人公・先輩アンドロイド
内気でお世話好きな眼鏡っ娘。照れると冷却ファンが回る。
オブちゃん
おっとり癒し系
ゆったりした観察者。デスっちという巨大ハンマーを持つ。
エキスちゃん
スーパーエンジニア
ハイテンションなトラブルメーカー。道具は自分で作って壊す。
データちゃん
クールツッコミ担当
冷静沈着な分析屋。「…非効率です」が口癖。
アール所長
マスコット所長ロボット
球体の浮遊ロボット。ピンチ時に渋いおっさん声になる。
keyboard_arrow_up