ひゃあっ!ラボちゃん
ここはアンドロイド管理地区アール研究所。
いつものようにアンドロイドたちの声が響き渡る。
またエキスちゃんが何か新しいアイテムを作ったみたい。
「ふっふっふ!できた!服が透けるライト!!!これをラボちゃんに・・・レッツゴー!!」
エキスちゃんはラボちゃんに忍び寄る。
「いた、いた・・・」
「まずはそーっと・・・」
小さな声で囁くとラボちゃんの白衣にライトを照射する。
「おお、透けとる透けとる・・・」
ラボちゃんの白衣とタイツが透け膝裏が顕になる。
「ラボちゃーん、おはよう!!新しいの作ったんだけどー!」
エキスちゃんの企みにラボちゃんが身構える。
「きょ、今日は…何を作ったん…ですか?」
ラボちゃんが俯きながら眼鏡の脇から覗いている。
「透け透けライトじゃー!!!」
エキスちゃんが高々とライトを持ち上げる。
大きな声を合図にみんなが集まってきた。
「今日は、何を作ったんですか〜?」
ゆるふわロングヘアのオブちゃんが微笑んでいる。
「また、ラボのおもしろデータ、取れますね・・・!」
データちゃんが目の奥を輝かせている。
「私のデータ…ですか…」
ラボちゃんが白い頬をピンクに染める。
ブオオオオーー!
ラボちゃんの冷却ファンが勢いよく回り出す。
「承認、承認、実験を許可する。」
ロボット口調でアール所長が二つ返事で承認する。
アール所長から写し出されたホログラムには太字で「承認」と書かれている。
「じゃあ、実験行ってみよー!!」
ラボちゃんに視線が集まる。
「ま、また…私…ですか?」
「さっきライト当てたんだ。ラボちゃんの膝裏透けてるっしょ?」
「あら、本当ですね〜、これを全身に?うふふふ」
オブちゃんがにっこりと笑みを浮かべる。
「えっ…いつの…間に……。なんか変な、感じ………」
ストレッチするくらい体を捻り、ラボちゃんが自分の膝裏を見る。
エキスちゃんがライトのスイッチを入れようとしたその時。
「あっ!」
カツーン・・・カラカラ・・・
手が滑ってライトが落ちた。
落ちたライトが端の方に転がっていく。
「あっ……」
みんなの声が重なり、転がったライトに視線が集まる。
「まあ、いけるっしょ!!」
エキスちゃんは気にしていない。
「やりましょう、やりましょう〜!」
オブちゃんは手を合わせながら髪を揺らす。
「データ解析準備完了です・・・」
データちゃんはいつものように定位置に座り画面を見つめる。
一方、ラボちゃんはツインテールのおさげを指に巻き付けながら、
「ひっ…大丈夫…なんですか……?本当の本当に……?落ちたけど、壊れてないです…よね?」
「承認、承認、承認済み。」
アール所長の機械的な声が響き渡る。
「スイッチ!オン!」
「…あれ?…おかしいな………」
エキスちゃんがスイッチをみながらオンオフしている。
「データ反応なし…0%です……」
データちゃんの視線はモニタの波形を捉えている。
「光らないですね〜。壊れちゃいました?」
「今回は、何もなし…かな…?」
ラボちゃんはまだ指に髪を巻き付けている。
エキスちゃんがライトを見ながら何度かオンオフしていたその刹那。
ぴっかーん!!!!
エキスちゃんの顔目がけて一筋の光が天井に向けて走る。
「え!え!!え!!!私!?」
エキスちゃんの声が震えている。
「きゃー!首なしー!!!」
オブちゃんはドアへ向かって一目散。
「ひゃっ…あ、あははは、あはは………」
ラボちゃんは震えながらその場でお姉さん座りになって涙をこぼしている。
「データ反応120%!照射エネルギーが暴走しています。」
データちゃんが山のように盛り上がった波形を睨んでいる。
「えー!私どうなってんのー!!!」
そこには首だけが消えてしまった謎のアンドロイドの姿があった。
「不承認、不承認!この実験は不承認!!!」
アール所長からは赤いランプが点滅し耳をつんざく様なアラート音。
「データ反応上がっています!エキス、どうにかならないんですか?」
「そう言われてもねー、エネルギー尽きるまで待つしか。」
「後どれくらいですか?」
「3時間くらいで消えるかなー。」
「ひゃっ、3時間も……首…なし…」
背の高いラボちゃんは小動物の様に小さくなっている。
「いっそのこと壊しちゃいましょうよ〜」
オブちゃんが戻ってきたかと思うと身長ほどの巨大なハンマーを持っている。
オブちゃん愛用の「デスっち」である。
「ちょっとオブちゃん、それはまずいって!!!」
オブちゃんのデスっちを見てエキスちゃんが全力で止めようとする。
かつて研究所を半壊まで追い込んだオブちゃんの得物がデスっちである。
オブちゃんが素早くエキスちゃんからライトを奪う。
ライトを床に転がすとデスっちを振り上げる。
「いっきま〜すよ〜♡」
そのとき!
ぴっかーーーん!!!!
「きゃー!」
「きゃ〜!」
「キャー!」
「ひゃー!」
ライトが全力で光を出して辺りは眩い光に包まれた。
「そういえば自爆装置つけてたんだっけ、忘れてた。ハハ!」
「忘れてたで済まされるものではないのですが。」
データちゃんがエキスちゃんに冷たい目線を送る。
「でもみんな見えていませんね〜、どこにいるんですか〜?」
「私たち、みんな、、見えなくなってる、、?」
「絶対的に不承認!不承認!これでは俺様の筋肉も見えないじゃないかァ!!!!」
筋肉モードになったアール所長だが光の影響で何も見えない。
「上腕三頭筋!!腓腹筋!!セイヤッ!!!スクワット500回!!!」
声だけがこだまする。
この光の暴発で彼女たちの姿は見えなくなってしまった。
そこにあるのは研究所の機材と彼女たちの声のみ。
「いいデータが取れました。ラボの大きな声、普段の368%でした。」
ブオオオオーーーー。
今日もアール研究所は平和であった。